件の「二重国籍」騒動について雑感

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個人的には、海外から日本に移り住み、その後に日本に帰化(外国籍を放棄して日本国籍を取得)した人が国会議員になっても何も問題はないし、むしろ開明的でけっこうなことではないか、とさえ思う。

ただ、諸外国での「二重国籍」への対応はなかなか厳しいようで、オーストラリアでは憲法で国会議員の二重国籍を禁じているとか。そういえば、ミャンマーも配偶者が外国人だと大統領になれないとかで、アウンサンスーチーさんは政府与党の党首であるにも関わらず、大統領には就任していない(実態としては、大統領以上に権力を有しているとかいう話もあるけれど)。

日本ではどうか。国籍法の第14条では「外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなつた時が二十歳に達する以前であるときは二十二歳に達するまでに、その時が二十歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない」とあるから、法律の建前上、日本には二重国籍の日本国民は存在しないことになっている。

とまれ、これに違反したとて罰則は設けられていないし、本人の努力義務みたいなところがあるので、実際は二重国籍の日本国民はたくさんいるけど、特に問題視されることなく放置されてるのが実態。また、オーストラリアと違って、憲法にも、その他法律にも、二重国籍の国会議員を排するような国籍条項は設けられていない。ただし、それは国籍法上では「二重国籍を有している日本国民」は存在しないことになっているので、特段定める必要はないから、とも解釈できる。

そのなかで特例的に国籍条項が設けられているのが外務公務員(外国政府と交渉等する役職)で、当職は外務公務員法第7条で「国籍を有しない者又は外国の国籍を有する者は、外務公務員となることができない」と規定されている。だから、仮に二重国籍のまま国会議員になれても、当然に首相や外務大臣にはなれない。

わが国における例の二重国籍の騒動については、もし政権交代があれば首相となるであろう最大野党の党首が、そもそも首相になるための要件を満たしていないのでは、という疑惑が持たれたのであるから、単なるスキャンダルでも、ましてや「人種差別」の問題ではなく(であるならば、オーストラリアなぞ憲法で「人種差別」を肯定している国ということになってしまうだろう)、法治国家における最高権力者になりえる立場にある公人として、真っ先に身の潔白を示さねばならぬ案件であった。

なお、公職選挙法第235条には「虚偽事項の公表罪」というものがあって、「当選を得又は得させる目的をもつて公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者の身分、職業若しくは経歴・・・に関し虚偽の事項を公にした者は、二年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する」とある。違反したらば候補者になれないとか、当選を取り消すとかは規定されていないし、二重国籍の状態であることを知らなかったというのが本当なら、悪意がなかったということで見逃されるだろう(過去の発言を見るに、知らなかったとは信じがたいことではあるが)。しかしながら、知らなかったとはいえ経歴を詐称していたのは事実であるから、政治家として何らかの責任を取る必要はあるのではないか。
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